結論:家事代行の利用料を対象にした税の優遇も国家資格も、今はありません

家事代行に、税額控除などの税の優遇はあるのか。国家資格はあるのか。2026年10月4日時点で、家事代行の利用料を対象にした税の優遇の制度も、家事代行の国家資格も、今はありません。国の資料で確かめられたのは、次の4つです。

  • 税の優遇 … 経済産業省・厚生労働省・こども家庭庁の3つの省庁が、令和9年度(2027年度)の税制改正に向けて要望している段階です(2026年8月)。控除の形・率・金額・対象の人・始まる時期は、要望書に書かれていません
  • 国家資格 … 国は、2027年秋を目途に第1回の試験の実施を「目指す」と書いています(2026年7月21日の閣議決定)
  • 経費 … 個人で事業などをしている人の所得の計算では、家事上の費用は必要経費になりません(国税庁のタックスアンサー No.2210)。家事代行を名指しした経費の説明は、確認した範囲では見つかりませんでした
  • 医療費控除 … 国税庁の事例では、出産後の療養中に、家事代行サービスへ家事や子供の世話を頼んだ費用は、対象とはなりません。同じ事例に、療養上の世話を頼んだ場合の対価は対象となる、ともあります

税の優遇が「いつから」「いくら」なのかは、読んだ国の資料のどこにも書かれていませんでした。下では、決まっていることと、まだ決まっていないことを分けて並べます。気になる所から読んでみてください。

税制改正の要望書・閣議決定・国税庁のページなど、国の資料を2026年10月4日に確認しました。報道にある見込みや予想は、根拠にしていません。会社選びは 家事代行を比較 にあります。

家事代行の税の優遇(税額控除など):今は3つの省庁の「要望」の段階です

「もう決まったの? いくら安くなるの?」と気になりますよね。どちらも、まだ決まっていません。

2026年8月に、経済産業省・厚生労働省・こども家庭庁が、令和9年度(2027年度)の税制改正に向けて要望を出しました。要望は、各省庁が税の手当てを求めて出すもので、決まった制度ではありません。

要望書に出てくる言葉は「家事支援サービス」です。経済産業省のサイトは、掃除・洗濯・炊事など、ふだんの家事を利用者の代わりに行うサービスと説明しています。このページでは、同じものを家事代行と呼びます。

話題 国の資料で確かめられたこと まだ決まっていないこと
だれが・いつ 経済産業省・厚生労働省・こども家庭庁の共同要望(令和9年度税制改正要望・2026年8月) 政府の税制改正の大綱に入るかどうか
何を 項目名は「家事支援サービスやベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の所要の措置」 控除の形(所得から引くのか、税額から引くのか)
税の種類 国税の要望は所得税、地方税の要望は個人住民税 率・上限の金額
対象 家事支援サービスと、ベビーシッターを含む認可外保育施設の利用にかかる費用 対象の人の条件(子育て・介護、所得)。対象になるサービスの範囲
時期と規模 「平年度の減収見込額」の欄は「精査中」。適用の期間と見込みの欄は「―」 始まる時期

右の列は、要望書に書かれていないことです。国税の様式にも、地方税の様式にも、金額・率・始まる時期はありませんでした。

「税額控除」という言葉で調べる人もいますが、今回の要望の言葉は「税制上の所要の措置」です。所得から引く形か、税額から引く形かは、書かれていません。

要望書の経緯の欄には、過去の要望も載っています。平成28〜31年度と令和2年度は、厚生労働省と内閣府が、ベビーシッターと認可外保育施設の利用料の税額控除の創設を要望していました。

今回の要望書に書かれたねらいは、子育てや介護で仕事を辞めたり、仕事の積み重ねに響いたりするのを防ぎ、仕事との両立を助けることです。

家事代行の国家資格はいつから?2027年秋の第1回試験を「目指す」段階です

家事代行の国家資格は、今はありません(ここでは、日本の国の資格の話です)。

国は、2026年7月21日に閣議決定した「日本成長戦略」で、「家事支援サービスに係る複数等級の国家資格(技能検定)の創設に向け」準備を進める、と書いています。技能検定は、仕事に要る技能がどこまで身についたかを測る国の検定で、受かると「技能士」と名乗れます。

同じ閣議決定にある、時期の入った予定は次の3つです。

  • 2026年度中 … 今ある家政士団体検定などを知らせて、受ける人を増やす
  • 2027年春を目途 … 資格を取るための講習を受け始められるよう、民間の事業者による講習づくりを促す
  • 2027年秋を目途 … 「第1回の国家資格試験実施を目指す」

「目指す」という書き方なので、時期は確定ではありません。資格の名前、等級の数、試験の中身、受ける条件、手数料、試験日、試験を行う機関は、読んだ資料には出ていませんでした。2026年9月7日の審議会(労働政策審議会 人材開発分科会・第59回)でも、技能検定に職種を足す議題はありませんでした。配付資料の名前にも、家事支援は出てきません。ただ、配付資料の1つには、家事支援の国家資格についての閣議決定の文の抜粋と、技能検定の職種を新しくつくるときの手続きの流れをまとめたページが入っていました。

今ある検定と認証は、これからの国家資格とは別のものです

「家政士」や「認証」という言葉を見て、もう資格があるように感じるかもしれません。名前の似た3つを、分けておきます。

名前 どんなものか 国の資料に書いてあること
これからの国家資格(技能検定) 仕事に要る技能を測る、国の検定 創設に向けて準備中。2027年秋を目途に第1回の試験の実施を「目指す」(日本成長戦略)
家政士団体検定 民間の検定を厚生労働大臣が認定する「団体等検定」の1つ。運営は(公社)日本看護家政紹介事業協会 日本成長戦略の脚注は「国家資格ではない」と書いています。認定日は2025年3月11日(厚生労働省の報道発表)
家事代行サービス認証 人ではなく、会社が受ける認証 全国家事代行サービス協会が運営し、日本規格協会が審査する第三者認証。経済産業省の資料は、2016年度につくられたと紹介しています

国家資格に当たるのは、いちばん上の1つです。それは、まだできていません。

税の優遇と国家資格のつながり:対象の線引きは決まっていません

「資格のある人に頼めば、税の優遇の対象になるの?」という疑問も出てきます。国の文は、「検討する」までです。

日本成長戦略は、「今後創設する新たな国家資格保有者等による家事支援サービス」などの「利用促進に向け、税制措置を含む新たな支援策を検討する」と書いています。2026年6月25日の「女性版骨太の方針2026」も、国家資格の創設などによる「品質・信頼性の向上を前提として」、税制措置を含む支援策を「検討する」としています。

資格を持つ人のサービスだけが対象になるのか、それ以外も入るのか。「保有者等」の「等」の中身は、読んだ資料に書かれていませんでした。

始まる時期も対象も書かれていないので、申し込みを早める理由にも、先に延ばす理由にも、今の資料は使えません。これは国の資料の文ではなく、このサイトの見方です。

家事代行の費用は経費になる?国税庁の資料に書いてあること

ここからは、これからの話ではなく、今の決まりです。

経費(必要経費)は、個人で事業などをしている人が所得を計算するときに、売上などの収入から差し引ける費用のことです。会社勤めで給料をもらうだけの人の話ではありません。

国税庁のタックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)に書いてあるのは、次の2つです。

  • 「家事上の費用は必要経費となりません」
  • 家事と業務の両方に関わる費用(家事関連費)のうち、必要経費になるのは、「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」

このタックスアンサーに、「家事代行」という言葉は出てきません。家事代行の費用がどう扱われるかを名指しした国税庁の説明は、確認した範囲では見つかりませんでした。会社が福利厚生として負担する場合を名指しした資料も、同じく見つかっていません。

経費と、次の章の医療費控除は、別のしくみです。経費は収入から差し引く費用、医療費控除は所得から差し引く控除(所得控除)の1つです。

医療費控除:頼んだ中身で答えが分かれます

「産後に頼んだ分は、医療費控除になる?」という質問には、国税庁の質疑応答事例が答えています。一言では言い切れず、頼んだ中身で答えが分かれます。

頼んだ中身 国税庁の事例の答え 事例の題
出産後の療養中に、家事代行サービスへ子供の世話や家事を頼んだ費用 「医療費控除の対象とはなりません。」 療養中のため家事を家事代行サービスに依頼した場合の費用
療養上の世話を、家事代行サービスに頼んだ場合の対価 対象となる 同じ事例(根拠は所得税基本通達73-6)
家事代行サービスに払う紹介手数料 一般的には、療養上の世話の対価として払うものではない。療養上の世話をする人を紹介してもらった対価として払う場合は、対象となる 家事代行サービスに支払う紹介手数料

1つ目の事例は、子供の世話や家事を頼んだ場合の対価について、「出産後の療養中であるため自ら家事を行うことができなかったとしても」対象とはならない、と書いています。療養中に頼んだ家事代行の費用なら対象になる、という意味ではありません。

では、何が「療養上の世話」に当たるのか。家事とどこで分けるのかを細かく決めた文は、読んだ資料にありませんでした。在宅療養の世話の費用についての別の事例は、領収書だけでは、療養上の世話の費用か、家事手伝いの費用かが、はっきりするとは限らない、とも書いています。

ここで引いた3つの事例は、どれも令和7年(2025年)8月1日現在の法令・通達等にもとづいて作られています。家事代行を題に入れた2つの事例のページには、注意書きもあります。照会の事実関係を前提にした一般的な回答で、具体的な取引に当てはめると、異なる課税関係が生ずることがある、という内容です。

経費も医療費控除も、ご自分の費用がどう扱われるかは、このページでは判断できません。税務署か税理士に確かめてください。

これまでの流れと、次に見る資料

ベビーシッターなどの利用料の税の優遇は、前の年にも要望されていました。国の資料を日付の順に並べます。

時期 国の資料にあること 資料
2025年12月 こども家庭庁が単独で出した「ベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の措置」の要望は、令和8年度の改正事項に入らず、「引き続き検討」 こども家庭庁「令和8年度税制改正の概要」
2025年12月26日 政府の大綱に、「ベビーシッター」「家事」の語は見つかりませんでした 令和8年度税制改正の大綱(閣議決定)
2026年6月25日 国家資格の創設などによる品質・信頼性の向上を前提に、税制措置を含む支援策を「検討する」 女性版骨太の方針2026
2026年7月21日 国家資格は、2027年秋を目途に第1回の試験の実施を「目指す」。税制措置を含む新たな支援策を「検討する」 日本成長戦略(閣議決定)
2026年8月 3つの省庁が、家事支援サービスを項目名に入れて要望 令和9年度税制改正要望

このサイトは、次の分かれ目を、政府が閣議で決める「税制改正の大綱」にこの要望が入るかどうか、と見ています。前の年の大綱は、2025年12月26日に閣議決定されました。今年の時期は、国の資料に書かれていません。12月ごろ、というのは、このサイトの見立てです。

新しい資料が出たら、このページの日付と中身を直します。決まる前に、先回りして書くことはしません。

税の優遇とは別に、確かめられる2つのこと

要望の行方とは関係なく、確かめられる道が2つあります。国の資料の文ではなく、このサイトからの提案です。

  • 勤め先の福利厚生 … 経済産業省のサイトは、家事支援サービスを社員の福利厚生として取り入れた会社の声を紹介しています
  • お住まいの自治体の制度 … 自治体が独自に行う家事代行の補助を、国がまとめた一覧は見つかりませんでした。あるかどうかは、自治体のページで確かめてください

勤め先の福利厚生の案内を開いて、「家事代行」「家事支援」の言葉で探しておくのも一つの手です。

料金の目安は 家事代行はいくらから割に合う? に、会社を選ぶ段階なら 家事代行を比較 にまとめています。

このページの限界

2026年10月4日に、国の機関のサイトに載っている資料(財務省・総務省・内閣官房・厚生労働省・こども家庭庁・内閣府男女共同参画局・国税庁など)で確かめました。経済産業省のサイトの、家事支援サービスと家事代行サービス認証のページは、2026年9月28日の確認です(認証が2016年度につくられたという紹介は、10月4日に確認)。

確かめられなかったこと、範囲に限りがあることは、次のとおりです。

  • 経済産業省のサイトにある要望の説明資料は開けませんでした。要望の中身は、財務省と総務省のサイトに載っている要望書で確かめています
  • 政府の大綱に「ベビーシッター」「家事」の語が見つからなかった、というのは、全文を機械で検索した結果です。全ページを目で読んではいません
  • 家事代行を名指しした経費の説明が見つからなかった、というのは、読んだページ(タックスアンサー No.2210・通達の一部・条文)と、所得税の質疑応答事例のうち所得控除の84本、源泉所得税の質疑応答事例のうちカフェテリアプランの3本の範囲の話です。所得税の質疑応答事例の題の一覧(261本)では、題に「家事代行」が入るのは医療費控除の2本だけでした(題を見ただけで、必要経費の事例の本文は読んでいません)。国税庁のサイト全体や、裁決・裁判例までは見ていません
  • 「療養上の世話」と家事の線引きは、読んだ資料からは分かりませんでした

このページは、国の資料に書いてあることの整理です。税の相談への答えや、申告の助言ではありません。確認の方法は 調べ方と比較の基準 に書いています。

出どころ: 財務省 令和9年度税制改正要望・経済産業省の要望書・厚生労働省の要望書・こども家庭庁の要望書/ 総務省 令和9年度 税制改正要望/ 日本成長戦略(2026年7月21日 閣議決定)/ 女性版骨太の方針2026(2026年6月25日。すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部の決定)/ こども家庭庁 令和8年度税制改正の概要/ 令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日 閣議決定)/ 国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識/ 国税庁 質疑応答事例「療養中のため家事を家事代行サービスに依頼した場合の費用」・同「家事代行サービスに支払う紹介手数料」・同「在宅療養の世話の費用」/ 厚生労働省 団体等検定の認定の報道発表(2025年3月6日)・第59回 労働政策審議会 人材開発分科会(2026年9月7日)/ 経済産業省のサイト 家事代行サービス認証・家事支援サービス/ 経済産業省 サービス産業のページ

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